MarkdownでKindle出版の原稿を書く方法
MarkdownでKindle出版に挑戦しようか考えている方に、MarkdownでKindle本を執筆する方法やコツを紹介します。
ワープロソフトでの執筆と何が違うのかとか、必要なソフト・出版までのプロセスを紹介します。
具体的な使用ソフトや、実践的に細かいテクニックなどを紹介するので、MarkdownでKindle出版される方はぜひ参考にしてみてください!
- MarkdownでKindle出版するメリット
- MarkdownでKindle出版する方法
- MarkdownでKindle出版するときコツやポイント
HTMLやCSSなどのWeb系言語を使ったことある人なら、比較的馴染みのあるMarkdownですが、Kindle出版でも非常に活躍してくれます。
割合でいうとワープロソフトで出版する人の方が多いと思いますが、読みやすい電子書籍データを早く安定して作るならMarkdownの方が最適です。
この記事では、Markdownでの執筆経験がない方に向けて、Markdownの環境整備などから解説していきます。
Markdownとワープロソフトのどちらで執筆、出版すれば良いか悩んでいる場合は、『「Kindle出版するならワープロとテキストエディターどっちがいい?」』を確認ください。
Kindle出版について網羅的に学びたい場合は『Kindle出版完全攻略ロードマップ』を読むのがオススメです。
MarkdownでするKindle出版の基本
まず、Markdown形式でKindle出版する場合の基本的なことをチェックしていきます。
- MarkdownでKindle出版するメリット
- MarkdownでKindle出版する方法
- MarkdownでKindle出版するのに使うツール
順番に見ていきましょう。
MarkdownでKindle出版するメリット
ワープロソフトでもKindle出版できますが、個人的にはMarkdownで執筆〜出版する方がオススメです。
MarkdonwでKindle出版をするメリットは以下のとおりです。
- 自分の意図したレイアウトのKindle本が作れる
- 一度レイアウトを作れば2冊目以降は執筆するだけ
- 環境を選ばずに執筆できる
意図したレイアウトのKindle本が作れる
Word以外のワープロソフトで原稿を作成した場合は、ワープロソフトの変換機能を使って原稿をEPUB形式に変換するのがスタンダードです。
この変換の際に失われる情報がありますし、そもそもワープロソフト側でできないレイアウトの調整があるので、イメージどおりの電子書籍を作るのは難しいです。
ですが、Markdownで原稿を作る場合は、EPUBファイルのデータを直接作っていくような形になるので、入れた情報が全て残ります。
結果として、イメージどおりのKindle本が作成できるのです。
一度レイアウトを作れば2冊目以降は執筆するだけ
Markdownで執筆〜出版する場合、構造的に執筆とレイアウトは別作業です。
レイアウトはCSSで調整するのですが、CSSは一度書いてしまえば使いまわしできます。
なので、1冊目でCSSを完成させれば、2冊目以降は執筆するだけで理想的なKindle本を出版できますし、CSSを更新したら、CSSを差し替えるだけで過去の本のデザインも一括で変更できます。
環境を選ばずに執筆できる
Markdownは、テキストが書ける環境さえあればどこでも書けます。
ファイルの変換前は、.mdファイルにする必要がありますが、それまではメモ帳で原稿管理しても構いません。
また、.md形式の状態で執筆する場合でも多くのソフトで執筆できるので、どんなパソコンやスマートフォンでも執筆できます。
好きなソフトで執筆できるのも強みになります。
Markdownでの執筆が合わなそうだけど、良いKindle本を作りたい場合はWordで執筆するのがオススメです。
詳しくは『「KindleでオススメのワープロソフトはWord」』に書いています。
MarkdownでKindle出版するプロセス
MarkdownでKindle出版するプロセスは以下のとおりです。
- 原稿を書く
- Markdownファイルを変換
- 完成したファイルをアップロード
Markdownファイルを変換する工程以外は、ワープロでの出版となにもかわりません。
ファイルの変換も便利な無料ツールがあるので、はじめてでもカンタンに行えます。
デザインに拘る場合、1冊目を執筆するときだけ、Markdownファイルを変換のところで、CSSファイルを作成する必要があります。
MarkdownでKindle出版するのに使うツール
では、MarkdownでKindle出版するのに必要なツールを紹介します。
使うツールは以下の2つです。
- テキストエディター
- 変換ツール
テキストエディター
Markdownの原稿はメモ帳でも書けますが、基本的にはテキストエディターを使います。
テキストエディターは色々ありますが、自分好みにカスタムできるVS Code やAtom がオススメです。
iPhoneで執筆する場合は、Typewriter が書きやすいです。
MacとiPhoneの両方から編集する場合は、iCloud内に原稿ファイルを置いておけばどちらの環境からも執筆できます。
変換ツール
MarkdownファイルをEPUBに変換するのは、でんでんコンバーター がオススメです。
他にも変換ツールはあるのですが、Markdownファイルの変換処理が日本語のKindle出版に適していて、カンタンに使えるので推奨しています。
詳しい使い方は『「でんでんコンバーターを使ってKindle出版する」』に書いています。
MarkdownでKindleの原稿を書くときのポイント3つ
Markdownでの執筆は慣れてしまえば、ワープロソフトを使うのが嫌になるくらい便利です。
ここを押さえたらMarkdownでの執筆がグッと楽になるよというポイントを3つ紹介します。
- よく使うMarkdownだけ覚える
- ショートカットを設定する
- 使い勝手の良いCSSを書いて使い回す
順番に説明していきます。
よく使うMarkdownだけ覚える
はじめてMarkdownを使う場合、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、ワープロを使いこなすより覚えることは圧倒的に少ないです。
Kindle出版では、以下5つのタグを覚えればMarkdownで原稿が書けます。
- 見出し
- 太字・斜体
- リンク
- 画像
- リスト
順番に説明します。
見出し
見出しタグは# 見出し
の形で使います。
見出しレベルの数だけ#
を付けて半角スペースをあければOKです。
# 見出し1
## 見出し2
### 見出し3
#### 見出し4
##### 見出し5
###### 見出し6
見出しレベルは1から6までありますが、本文中では2から4を使うのが一般的です。
タイトルが見出し1に相当するので、章〜項に合わせて使います。
## 章
### 節
#### 項
太字・斜体
太字タグは**太くしたい文字**
の形で使います。
太字じゃなくて斜めにしたい場合は、*斜めにしたい文字*
の形で使います。
見た目はCSSで変更できるので、斜体じゃなくて下線にするなどもできます。
当サイトでは、斜体タグを使うと黄色い蛍光ペンになるように設定しています。
リンク
リンクを貼るときは[テキスト](URL)
のタグを使います。
たとえば、別のKindle書籍にリンクを飛ばすなら[書籍名](Amazonの商品ページURL)
の形で書けば、リンクを作成できます。
画像
画像を貼るときは、![テキスト](画像パス)
のタグを使います。
でんでんコンバーターで、出版する場合は()の中にgazou.jpg
の用にファイル名を書けばOKです。
テキストの欄はWebサイトでいうaltに該当します。
ここは空欄でもいいですが、読み上げ再生のことを考えると画像名を入れておいた方が親切です。
リスト(箇条書き)
リスト(箇条書き)は、記号リストと数字付きリストで使い分けます。
- リストの中身
- リストの中身
- リストの中身
1. リストの中身
1. リストの中身
1. リストの中身
数字リストは、任意の数字 . 半角スペース
でなら何でも大丈夫です。
丁寧に番号を振っても、全部1にしても生成されるファイルの中身はかわりません。
ただ、Kindleでリストを表示する場合、CSSで調整しないと見にくいので、面倒な場合は・などをベタ打ちするのもありです。
他のMarkdownのタグが気になった場合は、Markdownのタグ一覧 を参考にするのがオススメです。
ショートカットを設定する
Markdownでの執筆は楽ですが、毎回記号を打つよりショートカットを設定した方が圧倒的に楽です。
エディターでショートカットの設定をしておくのがオススメです。
わたしが設定しているショートカットは以下になります。
見出し ⌘+見出しレベルの数字
太字 ⌘+B
斜体 ⌘+I
リンク ⌘+K
画像 ⌘+I
一般的なワープロソフトのショートカットとあまり変わらないショートカット設定しているつもりです。
ショートカットの設定は使いやすいようにお好みで設定してください。
使い勝手の良いCSSを書いて使い回す
Markdownで執筆する場合の最大のメリットは、一度使い勝手の良いCSSを書いたらそれ以降使い回せることです。
ショートカットを覚えたら、キーボードから手を離さずに執筆できて、執筆が終わったらデザインも整っているという状態になります。
Webサイトのデザインを整える場合は、CSSはクラス指定などで複雑になりやすいですが、Kindle出版用のCSSはクラス指定なしのシンプルなCSSで十分です。
自分で使うタグに関するCSSだけ、記述すればいいので作成工数もそんなにかかりません。
ワープロソフトのテンプレートを作るのと同じくらいの工数で終わるので、使い勝手の良いCSSを書いてドンドン使いまわしましょう。
Markdownで書いた原稿をKindle出版用に変換する
Markdownで書いた原稿をKindle出版用に変換するプロセスを解説します。
原稿が書けている前提での話なので、もし原稿が書けていない場合は 『「kindle本の原稿を書く」』を参考にして、先に原稿を作成してください。
- Kindleが対応しているHTML,CSSタグ
- でんでんコンバーターで変換する
上記の順番で説明します。
Kindleが対応しているHTML,CSSタグ
Markdownファイルをでんでんコンバーターで処理することで、HTMLの入ったEPUBファイルが作成されます。
この変換のときに一緒にCSSファイルを入れて変換すると、デザインが適応されたEPUBファイルになります。
ここで注意が必要なのは、Kindleで対応しているHTMLとCSSタグは全てでは無いということです。
Markdownで書いたHTMLに関しては、基本的に問題ありませんが、CSSは疑似要素が対応していなかったりするので、HTML および CSS のガイドライン とKindle Format 8 でサポートされる HTML タグおよび CSS タグ を確認しましょう。
疑似要素が基本的に対応していないので、Webサイトと比べると表現の幅が限られます。
なので、CSSを書く工数も短くて済むのです。
Markdownファイルを変換する
Markdown原稿とCSS、画像が揃ったらファイルを変換しましょう。
原稿を変換するアプローチはいくつかありますが、でんでんコンバーター がオススメです。
詳しい使い方は『「でんでんコンバーターを使ってKindle出版する」』に書いているので参考にしてください。
これで、EPUBファイルが完成するので、後はKDPでファイルをアップロードすれば出版できます。
原稿ファイルをアップロードする手順は、『「Kindleの原稿をKDPにアップロードする」』を参考ください。
まとめ:MarkdownでのKindle出版はワープロより早くて高品質
- 覚えるMarkdownのタグは5つくらい
- ショートカットを設定するとタグ打ちが早くなる
- CSSは制限があるからカンタンに作れる
Markdownでの出版は少しハードルが高そうに感じますが、最初に環境さえ整えてしまえばサクサクと出版できるようになります。
特に、ワープロソフトで出版した場合だと画像や表の掲載が上手くいかないケースが多いですが、そこもカバーできるのでオススメです。
Kindle出版について網羅的に学びたい場合は『Kindle出版完全攻略ロードマップ』を読むのがオススメです。
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